愛人募集掲示板

愛人掲示板で出会ったのは、少し抜けた彼だった。
丸い眼鏡をかけていて、ダサすぎるわけではないけど、何となくさえない。
それが彼の第一印象だった。
私が「初めまして」と声をかけるとおどおどと返事をする。
この男に浮気をする甲斐性なんてあるのかしらと思った。
「なんで愛人掲示板なんて書き込んだの?」
私がそういうと彼は、
「ごめんなさい!」
と土下座せんばかりの勢いで頭を下げた。
私は何事かとおどおどしてしまった。
彼曰く、愛人掲示板ではなく、恋人掲示板に書き込みたかったのだとか。
現在独身で出会いもなくて、せめて女性と食事でもと思い、書き込んだら返事が来て、舞い上がってしまった。
待ち合わせの前日、もう一度見直そうと掲示板を開いたらそこが愛人掲示板だったことに気が付いて、焦った。
ただ、すっぽかすわけにも行かず来てしまったが、ダメなら帰るのでいって欲しい。
そんな風に言われた。
デートするだけの副業
私も興味本位で書き込んだだけだったので、
「いいわ。じゃあ、約束通りデートしましょう。その代わりおごってね」
そうお願いした。
彼はぶんぶんと首を振って、私に笑みを向けた。
彼は意外に博識で話がすごく面白かった。
正直、会社なんかで出会っても話をしないタイプの男性だったが、一緒に出掛けてみると、見栄っ張りの男前よりもずっと面白い。
「眼鏡は伊達じゃないね~」
なんて言ってからかうと、真っ赤になって俯いた。
そんな仕草が可愛くて、私は彼のメガネを取った。
「あっちょっと、それがないと見えないよ!」
彼は慌ててそう言ったが、そんな彼の眼もとにそっとキスをした。
「見えなくても、大丈夫なこともあるのよ」
私がそういうと、彼はゆでだこのように赤くなって俯いてしまった。
そんな仕草が可愛くて、私は彼に言った。
「次のデートは何時にしよっか?」
愛人掲示板で彼氏を見つけられるとは思わなかったな。
エプロン
バイブ